【夏の納涼 特別版】掛川の妖怪!雷獣!
【#18 浜松紹介 納涼企画編】
雷獣
今回からは、納涼企画と題して静岡県各所にまつわる心霊・妖怪たちを少しずつ紹介していきます。
さて、記念すべき納涼企画の1回目は・・・?
雷獣とは
雷獣という言葉を聞いたことありますか?
雷獣とは雷とともに現れる妖怪で、日本各地に伝説が残されています。
鵺(ぬえ)と言った方が分かる方は多いのではないでしょうか。
『平家物語』で源頼政に退治された妖怪・鵺の正体は雷獣だったとされているようです。
雷獣の見た目は文献によって多少なりとも違いがあるとされていますが、多くが動物を部分ごとに合体させたように書かれています。
簡単にまとめると雷獣の特徴はこうなります。
- 顔はキツネかネズミのよう
- 大きさは犬やタヌキよりは小さく60㎝前後
- 全身は赤と黒い毛で覆われ足は6本、尾は2本
- 手足には長く尖った水晶のような爪がある
- 水かきがある個体もいる
- 激しい雷雨の日には雲に乗って空を飛ぶ
- トウモロコシが大好き
- 誤って墜落することがあり、その勢いは木を割き、人を害したという
『絵本百物語』に「かみなり」という題で竹原春泉が書いた雷獣がこちら
画像左上が雷獣・・・だと思います。あとよく見ると右半分ちょい下に顔が見えますね。
なんか想像してたのと違いますがそこはご愛敬w
雷獣が放つ妖気に中てられると錯乱状態になることが多く、どんな薬でも鎮めることはできなかったといいます。
しかし、トウモロコシかトウモロコシを粉末状にしたものを食べるとすぐに治ったそうです。
トウモロコシが大好きという部分と、誤って墜落するという部分は愛嬌のようなものも感じますね。
今挙げた以外にも各地に様々な伝承が残されていて、挙げればきりがないほどです。
現代では、一つ目小僧やろくろ首のようなメジャーな妖怪とは違い、雷獣は知名度がそこまで高くないのかもしれません。
しかし、江戸時代には河童や人魚と並んでとても知名度がありました。
雷のことがまだよくわかっていなかった時代は、空のことはまったくわからず、空の上がどうなっているかは想像するしかありませんでした。
そこで、雷が発生しているときは、空の上に棲んでいる未知の生物が地上に落下しているんだ、と考えるようになりました。
これが雷獣の伝承が始まった由来とされています。
各地で姿が違う
雷獣は各地に伝承が残されていますが、その土地で姿が大きく違うこともあります。
各地の伝承を箇条書きでご紹介します。
新潟県の伝承
- 形・大きさともに猫のよう
- 体毛は艶のある灰色だが、日があると黄金に輝く
- 天気のいい日はお昼寝するが、風雨だと元気になる
- 安永時代にある武家に落ち捕獲された
- 落ちた際に足を痛めており、治癒してから解放した
江戸で飼われて(?)いたという伝承
- モグラかムジナに似ていた
- 鼻先はイノシシ、腹はイタチに似ていた
- ご飯はヘビ、カエル、オケラ、クモ
富山県の伝承
- 姿は猫に似ている
- 体毛はネズミ色
- 前足の脇下にはコウモリのような飛膜があった
- しっぽは大きく反り返り、顔にかかっていた
- 卵を食べた
広島県の伝承
- 身体はカニかクモを思わせる
- 四肢の表面はウロコのようなもので覆われている
- 四肢の先は大きなはさみのようなものがついていた
鳥取県の伝承
- 大きさは2.4m
- 鋭い爪と牙があった
- タツノオトシゴに似ていたことから雷龍ともいわれていた
雷獣という名前だから雷と一心同体!かと思いきや、墜落時に足を痛めちゃったりしたんですねw
東日本は獣ベースなことに対し、西日本では海の生き物ベースとなっている点がとっても面白いですね。
東日本と西日本で共通していえることは、雷の時に落ちて来た幻獣であり姿形に絶対の決まりはない、ということですね。
雷獣の正体は?
様々な古典に記されている大きさや行動の特徴などから、雷獣の正体はハクビシンであるとする説があります。
当時はハクビシンの個体自体が少なく、ハクビシンという名前がなかったことが挙げられます。
江戸では、実際にハクビシンを雷獣として見世物にされていたこともあったそうです。
また、雷に驚いて木から落ちたイタチ、ムササビ、アナグマ、カワウソ、リスなどの誤認といった説もあります。
ただ、ハクビシン説を唱えると、カニやクモ、タツノオトシゴに似ていたという西日本の伝承の説明がつかなくなってしまいますね。
何か別の説があるのでしょうか・・・。
掛川での善い伝承
これまで挙げてきた伝承は雷獣の姿形や何を食べるかということでしたが、静岡県掛川市のあるお寺でのお話はなんだかかわいらしい伝承です。
ある日、掛川市のあるお寺に大木が真っ二つに割れる大きな雷が落ちました。
その大木の根本にケガをした雷獣を、お寺の和尚さんが発見し、手厚く看病しました。
ケガが癒えた頃、獣雷はお礼に自分のおへそを外して和尚さんに渡しました。
「日照りで困ったらこれを拝んでください。必ず雨が降ってきます」と言い残し、天へ帰っていきました。
ある日、日照りで村人たちが困っていると、雷獣のおへそを持った和尚さんが現れました。
和尚さんは、おへそが入ったたらいに水を浸して一番高い二本松の元へ持っていき、お祈りを始め、村人も一緒にお祈りをしました。
その3日後、ついに雨が降り始めたのです。
それからというもの、日照りで困った時はおへそをもって二本松の元でお祈りをすると3日ほどで雨が降るようになったとか・・・。
昔話に出てきそうなかわいらしいお話ですね。
雷獣のおへそ、着脱式だったんですかね・・・?w
その後、雷獣自身のおへそが復活したのかどうかは不明ですが、このお話に出てくるお寺は印徳寺というお寺らしいです。
この印徳寺で、最後に雨ごいが行われたのは1948年らしいのですが、その時に実際のおへそを見たという人の話によると、サザエのフタのような形で金色の毛が生えていたらしいです。
ちょっとどんな感じか想像つきませんねw
最後に・・・
夏の納涼企画1回目いかがだったでしょうか。
これから台風や急な夕立で雷が発生することが多くなると思います。
雷を見たときは、身の安全を確保してから雷獣の事をちょこっと思い出してみてはいかがでしょうか?
もしかしたら、墜落して足を怪我してるかも・・・w
ここまで読んでいただいてありがとうございました。